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Vol.3 <シンポション(饗宴) >
る心理学会における研究会の後、先生方との酒宴に同席させて頂いていた際のこと…。

  「なぜ、現代はトラウマだのと騒がれているのか?」と、大変尊敬している先生が疑問を投げ掛けました。

  「我々の時代は、戦争で死体の山を脇目にしながら小学校へ通っていたくらいだった。あの頃、我々も傷ついていたはずだとは思うが、傷だの何だのそんなことは言ってられなかった。…それとも何かあっても感じていないのか…鈍感さか? どうしても、最近のヒト達の心理的な弱さの傾向と思ってしまう」と。

  そこで、これまた大変尊敬している戦後生まれの先生が、次にように言いました。

  「少なくとも、今の苦しみは “個別的” で “偶然的” 。 “なぜ、自分だけが?” ということになる。戦争などは、もはや個人で避けられるような問題じゃ
なく、 “集団的” で “必然的” というところにも違いがありますよね」〜〜〜。
これは、自助グループの効果性との関連を示すこととも言えましょう。

  ともかく、…私はその饗宴に心地よさを覚え、論者に参加させて頂きたい気持ちはあったのですが、アルコールにやられていたせいもあり、私得意の解離(?)をしながら考えていました。。。

  “個別性” がもたらす哀しみ。 

  …何だかすごく分かる…私の頭は “回想録再生” 状態へ。
確か、私の本当の苦しみが始まったのは、物心ついた頃…“まさか、うちだけ?私だけ?”でありました。

  生まれてみて、私が “親” として見ることになった人達は、双方音楽家ではありましたが、片方は薬物依存症、片方は共依存症。
  二人は仲良くチームを組み、家庭内及び社会へ向けて、それはそれは大変な “働きかけ” を繰り返していたものでした。
  彼らは私に、愛と憎しみの葛藤を、それはそれはとてもキレイに教えてくれました。。。
  幼稚園に上がる前までの頃は、私は皆のお父さんもお母さんも、 “親” という名の人達は、薬を飲んでつぶれて暴れる片方がいて、そんな人がしでかす数々のお世話と後始末をすることにすがり、無意識的にそうして自我を保つ、 “強がる弱いヒト” とのセットとして揃っていて、またそれが、家庭というものなんだと思っていました。

  だから、 “子供” というのは、そのような人達の間に挟まれ、当たられ、自由に生きられなくて、日々事件に追い立てられて大変な立場ダヨネ(^-^)♪と、安堵の無い眠れぬ夜も、よそのおうちの “子供達みんな” と一緒に頑張ってるつもりでした…。

  ところが、私の本格的なショックが始まるのはここから。
特に、私の生まれ育った場所は高級住宅地として有名なところ…周囲の“平均” 自体が、ある意味普通じゃない。

  お友達のおうちに遊びに行った時…。
  “あれ?(・_・|何だか家庭の嵐が見えないなぁ” と感じ…。
  私「ねぇ、時々親って、暴れたりするじゃない? そういう時って、どうや
って過ごしてる?(^^)」
  お友達「…?…あばれるって…?(・_・)」
  私「…( ̄□ ̄;)!!……ううん、何でもない(^o^;」

…  確かこの日、私の世界観は少し変わりました…。

  そして、感じていたのは…世の中に“平等”など最初からありえない…ならば、自分の努力で、いかに他の人との距離を縮め、また追い越し、“平等”らしきものを獲得できるか…それが私の課題であり、また私自身の身を守るのは、私自身の任務であると…。
  幼子には、あまりに重い荷物であっただろうと思います。

  心は、何かを尊敬しないと、健全は保てない…。
  私が思春期の頃、何を思ったか、親はクリニックにもかからず、自分で自分を建て直しました。その時の親の大変そうな姿も私は覚えています。
  私は、親のその“自分を見つめる力”を尊敬しようと、その時“意識的に”決めたのです。

  最近の親との会話…。
  私「自分の過去の数々を、自分の中で“勲章”にできている?そう思えている?」

  親「うん。キミ(私)には悪いと思うけど…“勲章”と思っちゃってるね…。」
  私「安心した! …HPに結構書いちゃってるから、ははは。傷ついちゃったら困るなと思って…。」
  親「全然大丈夫だよ。」
  ・・・昔から、仲はとても良いんです・・・。

  こんなにきわどく(?)、ぐらぐらなコラムを書かせるのも、私に残った“個別的”な傷跡がざわつくせいなのでしょうか…(^o^

  この辺りで抑えることに致しまして、次回から自己紹介を離れ、社会へ旅立とうかと思います。。。

  薄井孝子

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